◉シリーズ【文字の部屋】はTypeBankがお届けする、書体に関する物語です。是非お楽しみください。
てやんでぇ
「てやんでぇ」は、勘亭流風ゴシック書体で、カクカクした印象を強く打ち出すことで新鮮味を出した「オトコが使える手書き文字」です。
江戸文字に関する本の小見出しに、ゴシック体と明朝体の両方の特長をもった書体が使われていて内容とマッチしていましたが、かなを勘亭流風にアレンジすればよりよくなると思ったのがきっかけでした。
当時試作していた勘亭流のかなを発展させてデザインしました。
角ばったエレメントとうねりのある曲線のエレメントを混在させる(*)と、うるさいイメージが残ってしまいます。
できるだけシンプルなデザインにしながらも、雰囲気は勘亭流風というところを目指しました。
現在、漢字デザインも考察中。
オズ
「オズ」は、欧文書体のエレメントからヒントを得た書体です。 そのままロゴとして通用する装飾性の高さを出しつつ、明朝体と組んでも違和感のないタッチに抑えることで小見出しまで用途が広がります。
次に紹介する「アリス」が柔らかい曲線で作られているのに対して、「オズ」は直線的な感じを強く出しています。直線的な中にも折り返しの部分に丸みを加えたことで、「ツンデレ」な印象を感じさせられるようになりました。
赤のアリス/白のアリス
「赤のアリス」は、女性好みの上品さと若い世代好みのかわいさを併せ持つ書体です。 お姫様的要素のエレメントを持たせたいと思い、「オズ」と同じく欧文書体のエレメントからヒントを得て、平ペンで作られるダイヤ形のエレメントを先端に施したデザインにしました。
「白のアリス」は、「赤のアリス」にラインを入れることにより、さらに装飾性を高めた書体です。
コミックの装丁をターゲットとし、親しみやすく昭和的な雰囲気を文字に反映するように試みました。 書体名は「不思議の国のアリス」の世界観が好きな女の子をイメージして名付けました。
クリーパー
「クリーパー」は、アールヌーボ調のデザインを文字で表現した書体です。
段落の先頭ひと文字を大きく表示する「ドロップキャップ」のレイアウトでも効果を発揮でき、ひと文字でも装飾的な美しさが伝わります。段落の始まりや文の変わり目などに、クリーパーを大きく表示すると、雰囲気をガラッと変えたり、その段落を強調したりする効果が得られます。
蔦(Creeper=クリーパー)が伸びていくような曲線で自由奔放に文字を形どっています。曲線の強弱で自然に文字を認識でき、線が重なる部分はうるさくならない程度にスリットを入れて前後関係や奥行きが感じられるデザインにしました。濁点・半濁点の文字もその部分だけ浮いて見えないように、蕾や実の形にし、文字の邪魔にならない工夫をしています。
欧文の小文字は大文字と同じ大きさにし、ひと文字で使ったり簡単な単語を組んだときに面白い形状にしています。長文には適しませんが、大文字と小文字と組み替えても違和感が無く、形状によって選ぶこともできます。
クエスチョンマークや句読点、パーレン、かぎかっこなど一部記号類も装飾的なデザインを用意しているので、簡単な小見出しで使用しても楽しいです。
いかがでしたか? コミックや雑誌などのアイキャッチで活躍するTBかナシリーズをどうぞよろしくお願いします。
(TBかナシリーズ 制作者談)
TBかナシリーズは、年間ライセンスのTypeBank PASSPORT、または使いたい書体を必要なだけライセンス購入できるTypeBank Select Pack PLUSで取り扱っております。